『あそぶ!ゲーム展』に行くべきたったひとつの理由

PSVRコラム&レビュー

※本記事は2015年10月12日に、兄弟サイトCRAVELwebにて初出されたレポート記事です。PlayStation VR情報局での公開時期よりも古い情報がございますのでご了承ください。

埼玉県川口市「SKIPシティ映像ミュージアム」で開催されているレトロゲームの企画展『あそぶ!ゲーム展 ステージ1:デジタルゲームの夜明け』に行ってきました。

貴重過ぎるレトロゲーに大興奮。ていうかこの貴重な筐体で遊んじゃっていいのかよレベル。最高です。

『あそぶ!ゲーム展』は川口市のSKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ映像ミュージアムで開催されている、世界的にも貴重なレトロゲームが遊び放題、という素敵な企画です。
以下よりざっくりレポートしていきたいと思います。

『あそぶ!ゲーム展』会場の様子

会場の入り口ポスター。
『遊ぶ!ゲーム展』会場は写真撮影はOK。動画の撮影はNGです。
代表的な展示を撮ってきたので写真画像を交えてまとめてレポートします。

世界的に貴重なゲーム機たち!


貴重な筐体がなんか無造作な感じで展示されてる!これ遊んでいいんすか!


世界初のコンピューターゲームと言われている『Tennis for Two (テニス・フォー・ツー)
ボールを打ち返す角度、タイミング、ネットの存在がしっかりゲーム要素を作り出している。
誰でも直感的に遊べるって大事!



こちらは世界初のシューティングゲームと言われている『スペースウォー! (Spacewar!)』。マサチューセッツ工科大学で開発されたそうです。実機のレプリカが展示されており、ゲームは横に置かれたエミュレーターで実際にプレイすることができます。


対戦型ゲームの『PONG (ポン)』。このころのゲームは対戦がメインのよう。
敵のアルゴリズムが複雑なゲームはもう少し年月を経てから登場。

超貴重な筐体『マンイーター』と『デスレース』!


世界的にも超貴重な筐体『マンイーター』。海底にある財宝を拾って水上の船まで運ぶゲーム。
ランダムに泳ぎ回る人喰いザメ(マンイーター)に食べられたらやり直し。
任天堂のゲーム&ウオッチの『オクトパス』のルーツのようなシステム。

『マンイーター』は二人同時プレイが可能になっていて、スコアが別々にカウントされます。
プレイヤーがマンイーターの餌食になると財宝が海底に戻ってしまうので、財宝を取った相手がマンイーターの餌食になるのを見計らって海底で財宝の復活を待ち漁夫の利を狙う、といった駆け引きや対戦的な要素もあっておもしろい!


『デスレース』も世界レベルの貴重な筐体のひとつ。今日はメンテナンスのため遊ぶことができず。残念!


アタリの『アステロイド』。ベクタースキャン方式の映像って今見ても恐ろしくかっこいい!

デジタルゲームの歴史を変えた史上最高のヒットタイトル『スペースインベーダー』


アップライト筐体の『スペースインベーダー』。背景に見える月面のような絵は映像ではなく筐体に直接はめ込まれた印刷パネル、筐体の下に配置されたブラウン管からモノクロのゲーム映像をハーフミラーで投影することでゲーム画面が浮かび上がる。オシャレすぎる。

スペースインベーダー』はテーブル筐体バージョンと合わせて2台展示。その他テーブル筐体の『パックマン』などが遊べます。
また、『スペースインベーダー』と『パックマン』は特集コーナーがあり、開発資料などが展示されています。貴重!!


「スペースインベーダー」の生みの親。西角友宏さんのインタビュー!貴重!


ギャラクシアンの実機基盤!貴重!

手書きの設計書!!!貴重!!

当時のパックマングッズ!レア!

遊べる!80年代の名作!



展示場後半は1980年代『ドンキーコング』『クレイジークライマー』『ディグダグ』などなど。このあたりのゲームは現在のゲームセンターでも使われている一般的なミディタイプ筐体で遊ぶことが可能です。

『あそぶ!ゲーム展』のすごいとこ

古いゲームを当時の筐体で遊んで思うのは、入力装置(コントローラー)の違い

ゲームの進化の歴史は入力装置(コントローラー)の進化の歴史でもあります。
現在のゲームはゲームのためにデザインされたコントローラを使用して遊びますが、初期のゲームにはそんな専用の入力装置などが存在するわけもなく、ただの電気回路のスイッチや可変抵抗のつまみなどを組み合わせて作られたものだったりします。


『スペースウォー! (Spacewar!)』のコントローラーに注目。ただのスイッチとボタンですね。。。
昔のゲームは入力装置としての使いにくさと、プログラムの作りによる反応の遅れも相まって、スムーズな操作を行うことそのものの難易度が非常に高いゲームが多くあったりします。

当たり前ですが、コントローラーの作りそのものがゲーム性の要素のひとつだということを改めて認識させられます。

また、現代のゲームでは入力装置だけではなく、入力された情報を画面上にフィードバックすることでより状況がわかりやすくなるような工夫がいくつも施されています。
スマホゲームには専用の入力装置はありませんが、タッチした場所を光らせたり点滅させたりして入力の状況を可能な限りわかりやすくしていますよね。

昔のゲームにはこんな親切さはありません。
見えない情報を探しながら、操作しづらい入力装置を使って、その使いづらさや反応の悪さを味方につけて勝利を得る
そんな楽しさが昔のゲームの『筐体』にはあります。


『Tennis for Two (テニス・フォー・ツー)』はアナログのつまみを回してボールを打ち返す角度を「このあたりかな?」って感じで決めます。もし画面上に打ち出す方向が正確に表示されてたとしたら当然ですがゲームになりません。

普段ゲームをやらない相手と2人で対戦してみましたが、複雑なコマンド入力もレベルなどもなく入力装置のあいまいさだけで成立する難易度によってお互いの強さは互角。拮抗する試合に思わずはしゃいでしまいました。これだけのゲーム性を生み出すことに改めて感動します。

「体験」できることの貴重さ

これはプログラムだけを再現しただけでは味わえません。『あそぶ!ゲーム展』ではいくつかのゲームがエミュレータで再現されていますが、入力装置は当時のものとほぼ同じスイッチ、ボタンを使用しているため、この入力装置を操るもどかしさ、楽しさを体験することができます。

現在はこれらのゲームをスマホやPC、家庭用ゲーム機で再現することも遊ぶことも可能でしょう。ただそれではこのような入力装置を操る体験は当然できません。

この場所に足を運んで遊ぶべきたったひとつの最大の理由はこの『入力装置の体験』にあります。
世界的に貴重なゲーム筐体、しかもメンテナンスも大変な筐体を自由に遊べる形で惜しげもなく公開しているこの展示会は、当時の技術や入力装置やプログラムや表現力を最大限に使って生み出された、今も色あせない『ゲーム性』を実際に触って知ることができる素晴らしい企画だと思います。

あそぶ!ゲーム展レポートのまとめ

と、いい大人が大興奮した内容でした。会場は子供連れも多く、家族で楽しめる展示です。
ちなみに混雑具合について。私は休日の午前中からお昼過ぎにかけて行きましたが、会場の人はまばら、空いている筐体もぱらぱらあり、誰かが遊んでいる筐体もそれほど時間を待たずにすぐに空く(昔のゲームって難しいからね。初見殺しされてる人多し)といった感じで、一通りのゲームを楽しめました。

入館料は大人510円、小人250円。
常設展である『映像ミュージアム』も見れます(この『映像ミュージアム』もかなり楽しめます。これだけでも510円の元が取れた気分)

『あそぶ!ゲーム展 ステージ1:デジタルゲームの夜明け』の会期は2015年10月3日(土)から2016年2月28日(日)まで。
ちなみに敷地内の駐車場は60分200円でした。

詳しくはSKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ映像ミュージアム内のあそぶ!ゲーム展 ステージ1:デジタルゲームの夜明けまで。