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VRデバイスで斜視になる、という怖い話。子供はもちろん大人も注意してください。

PSVRコラム&レビュー

VRで斜視になる、というニュースがにわかに広がっています。

子供にVRで遊ばせるのは危険。とも謳われていることもあり、ゲームコンテンツの利用がメインであろうPlayStation VRには向かい風のニュースとなっていますが、実際のところはどうなのでしょう。

多くのVRデバイスに年齢制限が設けられている

PlayStation VRに限らず、多くのVRデバイスには年齢制限が設けられています。これはコンテンツの内容によるものではなく、今回の斜視が発生するリスクを踏まえての制限事項とされています。

  • Oculus Rift・・・13歳以上
  • Gear VR・・・13歳以上
  • PlayStation VR・・・12歳以上

など、おおむね13歳前後で制限が設けられており、Cardboardなどをはじめとする段ボール製のVRゴーグルなどにも子供の利用について注意事項が明記されているものが多くあります。

なぜVRデバイスで斜視になるのか

一般的に人は、右目で見ている映像と、左目で見ている映像の違いを脳が処理することで、立体的な空間認知を行っています。

しかし、実際はそれほど単純な仕組みではありません。

VRデバイスの利用で斜視になる原因は「立体視細胞」と「瞳孔間距離」と言われています。

立体視細胞

例えば、右手の人差し指を眉間に近づけてその指先を見ようとするとき、人は両目を「寄り眼」にしながら「近くにピントを合わせ」ます。

その人差し指をゆっくり顔から遠ざけていくと、その指先を見る両目は徐々に寄り眼の状態から元に戻り、より遠くの物体にピントを合わせようとします。

この寄り眼にする動作とピントを合わせる動作は脳内にある「立体視細胞」というものがつかさどっているとのこと。

 

一方、VRデバイスで使われている立体視の仕組みは、右目の映像と左目の映像をそれぞれゴーグル内のスクリーンに映し出すことで空間認識を行わせるものですが、ここには現実世界との決定的な違いがあります。

それは、物体との距離です。

VRデバイスに映し出される映像は、常にゴーグル内のスクリーンに投影されるため、その映像を見るには常にゴーグル内のスクリーンにピントを合わせた状態で使用することになります。

そうすると、ここで立体視細胞の処理に矛盾が起こります。

実際はより遠くに、より近くに物体があると空間的に認識しているはずなのに、映像は常に同じ距離のスクリーンにピントを合わせている状態。

この状態が長く続くと、大人でも疲れの原因になったりします。

瞳孔間距離

また、VRデバイスで投影する左右の映像の距離にも問題があります。

右目と左目の中心、瞳孔と瞳孔の間の長さのことを「瞳孔間距離」と言います。

当然ですが、人の顔の大きさはさまざまなので、この「瞳孔間距離」もすべての人で異なります。

VRデバイスが投影する映像は、利用者の瞳孔間距離に合わせて投影する位置を調整することができますが、この調整がずれたまま使用することで、脳の空間認知に矛盾が起こります。

特に子供は成長が早く、短い期間で頭の大きさが変化してこの瞳孔間距離も変わっていくため、この発達期間中のVRデバイスなどの利用は空間認知の発達に影響を及ぼすとのこと。

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脳の空間認知の発達を考慮して、13歳未満は使っちゃダメ

一般的に立体視の発達は6歳ごろまで、瞳孔間距離による空間認知も10歳前後までに完成するといわれています。

これらの理由により、この「立体視細胞」や「瞳孔間距離」への影響が起こりにくい13歳以上の利用が推奨されている、というわけです。

子供だけじゃなくて大人もちょっと注意

この空間認知への影響ですが、大人になったからと言って必ずしも全く問題ないわけではありません。

影響を受けにくい、というだけで大人になってからも同様のリスクは存在します。

VR映像はあくまで脳の錯覚を利用して仮想空間を作り出したもの、どれだけリアルに作りこんであっても、脳は現実世界との違和感を敏感に感じ取ります。

3D酔いやVR酔い、などもこういった脳の違和感による疲れのサイン。

VRすべて悪いものと決めつけたりするのではなく。利用時間や利用方法を留意したうえで楽しみましょう。

VRデバイスで斜視が治るかもしれない、という話

VRデバイスによる斜視のリスクを唱える一方で、VRデバイスの使い方によって自分の斜視を直したという方もいます。

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「作用」と「副作用」は表裏一体。

医療分野で活用される日も遠くないのかもしれません。

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コメント

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