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『プレステ4 プロ』はどこが変わったのか。通常版プレステ4との違い、PSVRの動作に影響は?

PSVR特集

プレステ4 (PlayStation 4) のハイエンド版である『プレステ4 プロ (PlayStation 4 Pro)』が発表されました。あわせて従来の PlayStation 4 もモデルチェンジを行い、小型でリーズナブルな廉価版として発売開始されました。

PlayStation VR (PSVR) の発売も控えている中、すでに PlayStation 4 本体をお持ちの方は今回の突然の発表で PlayStation VR が問題なく遊べるのか心配になった方も多いのではないでしょうか。また、これから購入を検討されている方は『PlayStation 4 Pro』と『PlayStation 4』のどちらを選べばよいのでしょうか?

今回ラインナップされた新しい『PlayStation 4 Pro』と『PlayStation 4 (廉価版)』について、従来のプレステ4と主なスペックを比較してまとめてみました。

新しい PlayStation 4 のラインナップ

今回の発表により PlayStation 4 は大きく 2 種類のゲーム機本体がラインナップされます。

  • PlayStation 4
  • PlayStation 4 Pro

PlayStation 4 は、2013年11月から北米で発売された家庭用ゲーム機で、現在発売から 3 年を迎えようとしています。コンピュータの性能が日々向上していく中、これまでの PlayStation 4 に加えてさらにハイクオリティなゲームの体験ができるモデルとしてラインナップされたのが PlayStation 4 Pro です。

PlayStation 4 Pro は、過去に『PlayStation 4.5』や『PlayStation 4 NEO』などと噂されていたゲーム機で、従来型の PlayStation 4 にいくつかの機能が追加されたモデルとして提供されます。PlayStation 4 Pro は PlayStation 4 の後継機としてではなく、あくまで機能が付加されたモデルとして PlayStation 4 と併売されます。

また、すでに発売済み、およびこれから発売される全ての PlayStation 4 用のゲームはすべての PlayStation 4 Pro、PlayStation 4 で遊ぶことができ、ネットワーク対戦などにおいてもすべてのユーザーが同じゲーム内で遊べることがアナウンスされています。

ポイントは、すべての PlayStation 4 用ゲームは PlayStation 4 と PlayStation 4 Pro の両方で遊べる、ということ。『PlayStation 4 Pro 専用ゲーム』は今後も発売されません、ということのようです。

PlayStation 4 Pro と PlayStation 4 廉価版、従来型 PlayStation 4 のスペック比較表

PlayStation 4 ProPlayStation 4
(2016年9月発売)
PlayStation 4
(従来型)
外観
型番CUH-7000CUH-2000CUH-1200A
発売日2016年11月10日2016年9月15日2015年6月
(メーカー生産終了)
CPUAMD "Jaguar" CPU 8コア
(2.1GHz)
AMD "Jaguar" CPU 8コア
(1.6GHz)
AMD "Jaguar" CPU 8コア
(1.6GHz)
GPUAMD RADEON カスタム
(4.20テラフロップス)
AMD RADEON カスタム
(1.84テラフロップス)
AMD RADEON カスタム
(1.84テラフロップス)
メモリGDDR5 8GBGDDR5 8GBGDDR5 8GB
HDD容量1TB 500GB、1TB500GB
有線ネットワーク1000BASE-T1000BASE-T1000BASE-T
WiFiIEEE 802.11 a/b/g/n/ac
(2.4GHz、5GHz)
IEEE 802.11 a/b/g/n/ac
(2.4GHz、5GHz)
IEEE 802.11 b/g/n
(2.4GHz)
BluetoothBluetooth 4.0 対応Bluetooth 4.0 対応Bluetooth 2.1 (EDR) 対応
(システムアップデートにてBluetooth 4.0 へ対応予定)
外形寸法
(幅×高さ×奥行き)
(最大突起含まず)
約 295mm × 55mm × 327mm約 265mm × 39mm × 288 mm約 275mm × 53mm × 305 mm
消費電力
(最大)
310W 165W 230W
重量3.3kg2.1kg2.5kg
映像出力
(最大)
4K
(3,840 × 2,160 ピクセル)
Full HD
(1,920 × 1,080 ピクセル)
Full HD
(1,920 × 1,080 ピクセル)
HDR対応対応非対応
(システムアップデートにて HDR へ対応予定)
光学ドライブBlu-ray 6 倍速、DVD 8 倍速Blu-ray 6 倍速、DVD 8 倍速Blu-ray 6 倍速、DVD 8 倍速
UHD Blu-ray Disc
(4K ブルーレイ)
非対応非対応非対応
その他特徴背面に USB ポートあり
光デジタル音声出力端子あり
光デジタル音声出力端子あり
価格44,980円 (税抜)HDD500GBモデル:29,980円 (税抜)
HDD1TBモデル:34,980円 (税抜)
HDD500GBモデル:34,980円 (税抜)
HDD1TBモデル:39,980円 (税抜)
備考今後も『PlayStation 4 Pro 専用ゲーム』は登場しない

PlayStation 4 Pro の基本性能を比較してみる

そもそも、家庭用ゲームをはじめとするコンピュータの性能はどのように決まるのでしょうか。

コンピュータの性能を決める要素は数々ありますが、その中で代表的なものとして「CPU」「GPU」「メモリ」があります。

PlayStation 4 Pro では、これらの CPU、GPU、メモリの基本仕様は PlayStation 4 と変わりませんが、従来よりも動作スピード (クロック) や性能が強化されたものが使われています。

これらは一つの要素で言い表せるようなものではないのですが、従来型の PlayStation 4 と比較すると、PlayStation 4 Pro は基本性能が大きく向上しています。

基本性能の違いがゲームの動作にどう影響するの?

これによって PlayStation 4 Pro でのゲームがどのように変化するかというと、この性能向上を主に映像処理に使うことができるようになるため、より高精細な映像でゲームを遊ぶことができるようになります。

たとえば、ゲームの映像処理にはよりコンピュータの性能を必要とするのもがあります。「シェーダー」と呼ばれる光の反射、影、空気感の表現などに利用されるプログラムは、多くのコンピュータ性能を必要とする一方でゲーム本来の動作には影響しない場合があります。(視界のはるか遠くのほうにいる人物の影や水面の反射など)

プログラムはその時々に応じて、そういったゲーム本来の動作に影響が少ない処理を省略することにより、コンピュータ性能にあわせてゲームを安定的に動作させているのですが、PlayStation 4 Pro ではこういった処理を従来の PlayStation 4 よりも余裕をもって行うことができるようになるためによりリアルな映像が表現できる、というわけです。

フレームレートへの影響

ゲームの映像は1秒間におよそ30〜60回の速さで映像を書き換えています。

この1秒間に書き換えることのできる映像の枚数は『フレームレート (FPS)』という単位で表され、1秒間に30回であれば 30FPS、などと表記されます。

このフレームレートはプログラムのつくりにもよりますが、大きくはコンピュータの性能によっても変化します。

そのため、ゲームタイトルによっては、PlayStation 4 では 30FPS で動作していたものが、PlayStation 4 Pro では 60FPS などのより高いフレームレートで遊ぶことができるようになります。(そのゲームの対応状況によります)

フレームレートは映像の動きの滑らかにするだけでなく、瞬間的な判断を必要とするアクションゲームなどにおいてはこのフレームレートによってゲームの優位性が変わる可能性もあるため、ゲームプレイには少なからず影響があるといえます。(1/60秒の判断はプロの域ですが)

映像の比較。PlayStation 4 Pro は 4K 映像出力に対応

PlayStation 4 Pro の大きな特徴として、『4K 映像』の対応があります。

『4K』って何?

『4K』とは、テレビやディスプレイなどの映像機器の解像度を表す用語のひとつです。

現在の地上波デジタル放送などで見ることができるテレビの映像は『フルハイビジョン (Full HD)』と呼ばれており、横1,920画素 × 縦1,080画素の表現力を持っています。対して『4K』とは、横に3,840画素、縦に2,160画素の表現力を持っており、フルハイビジョンの約4倍の精細さを表現できる映像、ということになります。

この『4K』映像に対応したテレビは『4Kテレビ』などと呼ばれており、現在家電量販店などで販売されていますが、PlayStation 4 Pro は、この『4Kテレビ』への映像出力に対応をしています。

映像が精細化するけど、完璧じゃない。でも十分。

PlayStation 4 Pro では、この 4K 映像に対応したことにより、ゲームタイトルによっては 4Kテレビでより精細な映像でゲームを楽しむことができるようになります。

ただし、この 4K 映像への対応には注意点があります。

そもそも 4K 映像は、PlayStation 4 がもともと対応していた FullHD の約 4 倍の精細さを持つ映像です。その映像を完全に処理するためには単純計算でも従来の PlayStation 4 の 4 倍の映像処理を行うことができるコンピュータ性能が必要になります。そして PlayStation 4 Pro は、この性能を満たしていません。

ではどうやって PlayStation 4 Pro で 4K 映像を処理しているのかというと、『アップスケーリング』という手法で、もともと 4K に満たない映像を引き延ばして対応させるという方法をとっています。

この方法であれば、コンピュータ性能が十分でなくても、ゲームの動作に支障がないようバランスをとって 4K 映像でゲームを楽しむことができるようになります。

ちなみに、4K の映像を完全に 60FPS で動作させることができるパソコンを自作しようとすると、PlayStation 4 Pro 本体が 2~3 台買えてしまいそうな値段の GPU (パソコンの構成部品) が必要だったりするので、PlayStation 4 Pro の 4K 出力は「コンピュータ性能と価格のバランスをちょうどよく考えた対応」と言えそうです。

なお、この 4K 映像を楽しむには 4K に対応したテレビ (ディスプレイ) が必要になりますが、FullHD のテレビの場合であってもゲームによっては画質が向上したり、高いフレームレートで楽しむことができるようです。

HDR はこれまでの PlayStation 4 でも対応する

また、新しい機能として『HDR への対応』があります。

『HDR』とはハイダイナミックレンジ (High Dynamic Range) の略で、新しい高画質化の技術のひとつです。

HDR の効果をひとことで言い表すと、「より自然に近い光と色の表現」といった感じでしょうか。従来の液晶パネルではできなかった光の明るさの表現によって陰影のメリハリが効いた映像でゲームを楽しむことができるようになります。

ちなみに、HDR 映像を楽しむためには、HDR 対応ディスプレイ (テレビ) が必要になります。

なお、この HDR 対応については従来の PlayStation 4 でも後日アップデートで対応予定となっているため、PlayStation 4 Pro 専用の機能でないことにご注意ください。(アップデート日程は現状未定となっています)

4K ブルーレイディスクは見れない

PlayStation 4 Pro の注意点として 4K 映像に対応したブルーレイディスク (Ultra HD Blu-ray ディスク) に対応していない点が挙げられます。

NetFlix や Youtube などのオンラインサービスでの 4K 映像の再生を行うことはできますが、購入したUltra HD Blu-ray ディスクの視聴はできない点に注意してください。

Ultra HD Blu-ray ディスクの再生に対応しなかった理由としては、海外ではネットワークサービスでの動画視聴が主流となっているためということらしいですが、日本ではアニメ作品のディスク販売などが根強く人気なのでこのあたりの影響は少なからずあるかもしれません。

ちなみに、Xbox One の上位機種である『Xbox One S』では、Ultra HD Blu-ray ディスクの再生に対応しているとのことで、海外で主流の Xbox 製品が対応してきた一方で PlayStaion 4 Pro がUltra HD Blu-ray ディスク再生に非対応となってしまったのは少し残念です。

PlayStation VR の体験は PlayStation 4 Pro で変わるのか

液晶パネルそのものは PlayStation VR 本体のものなので、FullHD から 4Kディスプレイに変更したような映像の変化はありませんが、PlayStation 4 Pro によってフレームレートの向上 (安定化) や映像の精細化などが見込めるようです。

ただ、PlayStation VR は、安定した VR 体験のために最低限必要とされている 60fps を従来の PlayStation 4 のスペックで実現することを謳っていました。これは VR 酔いなど、通常のゲーム体験に影響するため、PlayStation VR の発表当初からの仕様として挙げられているものです。

PSVR向けのコンテンツでは、ソニーがVRコンサルを通じて品質管理も行っています。そこでは、フレームレート(1秒間に表示する画像の枚数)は①初めから120Hzで作られたもの、②60Hzで作ったものをリプロジェクション機能(※)で120Hzにするもの、③90Hzで作られたもの、の3つのみを許可しているとのこと。90Hzの水準は必ず満たすよう設定されているのがわかります。

引用元:http://www.moguravr.com/sie-consultation-vr/

映像の精細さなどの変化は多少あれど、VR コンテンツの体験は従来型の PlayStation 4 でも損なわれることはありません。

結局、PlayStation 4 Pro を買う必要があるのか

PlayStation VR の映像が向上するとされていますが、その他のゲームも十分楽しむには 4K ディスプレイの環境が必要になります。また、一方ですべてのコンテンツが今後 4K 映像に対応するわけではなく、あくまで対応は各メーカーに委ねられているとのこと。

これから新しくプレステ4を買おうと検討している方で、現在4Kディスプレイを所有しているかもしくは近々購入予定がある方であれば PlayStation 4 Pro の性能が十分に活きるかと思いますが、それ以外であれば選択の決め手としては弱いかもしれません。

個人的には映像表現の向上に興味はあるものの、やはり気軽に買い替えられるものではないので、PlayStation 4 Pro の購入は今のことろ様子見です。

特に、PlayStation VR の動作については従来の PlayStation 4 であってもパフォーマンスが十分に確保されることが開発元より繰り返しアナウンスされています。

PS VRのタイトルはPS4に特化して最適化して作っているわけですが、PS4 ProならGPUは2倍以上のパフォーマンスがあるのでレンダリングするときの解像度を上げてみようとか、追加のグラフィックスエフェクトを入れてみようとか。様々なことを試しています。PS4 Proならさらに綺麗に見えるようになります。

引用元:http://game.watch.impress.co.jp/docs/interview/1020395.html

より高い映像品質で遊べるゲームも今後ラインナップされてくるかと思いますが、初期型や廉価版の PlayStation 4 だと VR 酔いしやすい、などといったことは一切ありません (と信じてます。ソニーさん) ので、気にせずお財布事情で選択するのが良いかと思います。

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スペック表の作成にあたっては上記記事を参考にさせていただきました。

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